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大物から小物まで、あらゆる金属加工に柔軟に対応 |
生産拠点の海外移転による空洞化が懸念されている。しかし、部品加工を担う協力企業に求められるのはコストだけではない。確かな技術と納期への柔軟な対応、つまり『ここだったら間違いない』という信用であり、この点はむしろ国内の中小製造業の方がアドバンテージを有している。発注先から認められることこそが生き残りの条件といってもいいが、創業以来、大物から小物まで多品種に亘るあらゆる金属加工に柔軟に対応し、発注先にとってなくてはならない存在となっているのが『且O和プレス』だ。 |
●何でもこなす多品種少量生産が持ち味 |
「且O和プレス」の創業は昭和47年2月。県下の製造業では珍しい女性経営者・横山郁代社長が率いる会社だ。銀行OBで、大分九石販売の創立にも関わった創業者の父親が他界(昭和62年2月)する3年前に、社長に就任。今年で21年目の“ベテラン社長”だ。
横山社長は、「私は5人兄姉の末っ子で、兄が3人いましたが、父が病気で倒れてから経理を手伝っていたこともあって、跡を継ぎました。当時は従業員数も5〜6人で頑張ればやれるかなという感じでしたが、皆さんに助けてもらいながら、ここまでやってこれました」と控えめに語るが、特に経営環境が厳しいこの業界にあって、新日鐵関連の太平工業・スガテック、三井造船等大手との太いパイプを築き、堅実に業容を伸ばしている、その経営手腕に対する評価は高い。
業容拡大の要因の一つとなっているのが、「金属加工に関しては、鉄もステンレスも銅もアルミも何でもやる」という柔軟な対応で、各種製缶加工をメインに機械加工・プラズマ切断・プレス加工等、それも大物から小物までのあらゆる要請に応じた“モノづくり”をこなしていることだ。「うちのような小さな会社は一定のものに偏ってやっていたのでは、例えば発注量が減った場合など大変なことになり、多品種少量生産で利益を確保しないと食べていけない」からだ。 |
●高度な加工技術が信頼獲得のバックボーン |
同社はかつて、毎月コンスタントに入ってくる仕事の確保という意味もあって二輪車部品のプレス加工を手がけたことがある。しかし「プレス加工というのは何円何十銭の世界ですが、単価切下げ要請が頻繁にあり、工場レイアウト変更や設備導入などを考えるととてもペイしません。結局7年半ほど続けて、止めるためにお礼の挨拶に行きますと『仕事量を増やすから・・・』と言われましたが、量だけの問題ではない」ことから、特に多品種少量生産に力を入れ、設備面を充実し、すでに10年前には1,500万円を投じて自動倉庫を導入して作業の効率化を図っている。
また、絞り加工に代表されるように高度な加工技術が発注先からの信頼を獲得するバックボーンとなっていることはいうまでもない。その“実力”を如実に示しているのが、最高レベルの安全性が要求される原子力関連製品の受注だ。三井造船を通じて計6,000個の原子力発電用のステンレス製燃料制御棒格納蓋を製造したもので、平成12年2月、大阪まで船で運び、体育館を借りて行われた最終検査は、「非常に厳しいものでしたが、圧巻でしたね」という“勲章”となっている。
同社は60歳定年だが、「人は元気なうちは働くべき。いま世の中はリストラ流行ですが、同じ釜の飯を食べてきた人に『あなたは残って、あなたは辞めて』なんて言えません。悪いときはみんなで耐えて、良いときはみんなで喜びを分かち合う」というのが横山社長の基本的な考え方。現在4人が継続雇用で残っているそうだが、こうした熟練工による加工技術の伝承が技術力の向上にも大きな効果を挙げているのは間違いない。また家族的は雰囲気は長期勤務者が多く、職場に生き生きとした活気をもたらしている。
「モノづくりは製品がお客様に認められるかどうかという点では、絵を描いたり器を焼いたりする芸術と同じ。だから、うちみたいな小さな谷間の企業でも、なくなったら困る人がたくさんいるという誇りを持ってやっている」という横山社長。5年後には、工作機械メーカーのアマダ勤務後、現在同社で専務と常務を務める2人の子息に経営をゆだねる意向で、「モノづくりをやるからにはやはり究極の目標は自社製品の開発」という夢の実現を託す。
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事業所プロフィール |
会社名 |
株式会社 三和プレス |
所在地 |
大分市原川3丁目2番28号 Tel 097−558−8368 |
代表者 |
横山 郁代 |
資本金 |
1,000万円 |
組合員数 |
22名 |
事業内容 |
各種製缶加工・機械加工・プラズマ切断・プレス加工・各種金属加工全般 |
創 業 |
昭和47年2月 |
E_Mail |
sanwa-p@proof.ocn.ne.jp |
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