元気印の中小企業

　保養型等の観光ニーズの多様化を背景に、近年、海岸についても「癒し」や「憩い」といった利用環境整備への関心が高まっている。　ウォーターフロント開発への期待はその代表的なもののひとつだが、地域と一体となった手づくりのイベント等を通じて、エリアは限られても家族やカップルが楽しめる“自分たちの身の丈にあった場づくり”で、大分市の西大分港を中心とする親水空間づくりと賑わいの場づくりに先導的な役割を果たしているのが、『㈱ベイプラン』である。

●身の丈にあった賑わいの場づくり

　『㈱ベイプラン』は、ウオーターフロント開発コンサルタント及びイベント企画・市場調査等を事業目的とする会社で、西大分港の古い倉庫を活用した新しい賑わいの場づくりを目的とする「かんたんクラブ」とチャレンジショップ的な意味合いをもつ倉庫型商業施設「かんたんサーカス」の管理運営に当たっている。
　設立は平成６年８月。各種イベント企画とそれに関連する音響装置・照明設備等を手がけている㈱テイクファイブ（大分市王子中町10－22、早瀬康信社長）が、大分県におけるウォーターフロント開発実現に向けての研究とその事業化を通して地域活性化に寄与することを目的に平成元年に発足した大分ウォーターフロント研究会（遠藤洋太郎会長、2003年３月NPO法人に認証）の会員有志に働きかけて設立した。
　同研究会は海外を含めた各地のウォーターフロント開発事例を視察・研究して県などへの提案等を行ってきたが、「メンバーの皆さんがソフト面での素晴らしい感性を磨き、研究ばかりでなくそろそろ実践をという声が上がってきた時、西大分港を中心とするポートルネッサンス２１計画が持ち上がりました。しかし、この計画はあまりにも大きく、エリアは狭くてもしっかりと運営でき、かつ若者や家族連れがくつろぎ楽しめるようにと、古い倉庫を借りて商業スペースとして活用する同クラブの構想がまとまり、真っ先に手を挙げて一緒にやりませんかと働きかけたところ過半数を超える34社・個人の賛同を得て設立した」（早瀬社長）ものだ。
　早瀬社長は各地のウォーターフロント視察ではハード優先で大きな建物を作ってもソフト面が弱く、長期的には商業・賑わいスペースとしては成り立たないケースを数多くみてきたという。このため、かんたんクラブの運営では、「安い商品でも面白そうなものがあり、地域と一体となった手づくりのイベント等を通じて、家族やカップルが楽しめる“自分たちの身の丈にあった賑わいの場づくり”を第一に考えた」そうで、同クラブは今では各種コンサートや演劇のほかパーティー等のスペース貸しで人気の賑わいスポットとして定着してきている。

●犬を介した交流の場「ドッグラン」も

　『㈱ベイプラン』のもう一つの柱となっている事業が「かんたんサーカス」の管理運営だ。かんたんサーカスは、大分港再開発計画の一環として県の第３セクター・大分ウォーターフロント開発㈱（秋月睦男社長）が建設、2003年３月にオープンした。木造平屋建て延床面積約200㎡に11店（2003年10月に12店舗になる予定）のペットグッズやアジア・アフリカ雑貨等のアイディアと意欲溢れるチャレンジショップが入居しており、㈱ベイプランは大分ウォーターフロント開発㈱の委託を受けてその管理運営に当たっているもの。
　しかし、「同サーカスへの入居希望は多く人気は非常に高いものの、運営面では緒に就いたばかりで、正直なところ苦しい」という早瀬社長。このため最近はかんたんクラブのイベントもサーカスを意識したものに変えて相乗効果を上げるように努めると同時に、2004年３月までに予定されている県による海岸エリアの公園整備を機に新たな集客の目玉施設を計画している。公園整備で海辺の一部が芝生化され散策路や木陰も整備されるが、同社はここに愛犬家自慢の犬を持ち寄り、犬を介した交流の場となる「ドッグラン」を設けて、かんたんサーカスに入居する人気のペットショップと連動させることで集客力の向上を図る考えだ。
　「海辺が一番くつろげて落ち着く」ことが西大分港の親水空間づくりの原動力という、根っからの海好きの早瀬社長。『あそこは良いよ』と言わせ、自分たちも自慢でき、楽しい時間が過ごせる場所づくりに、改めて意欲を燃やしているところだ。

事業所プロフィール
会社名	株式会社ベイプラン
所在地	大分市王子中町１０－２２　Tel ０９７－５３５－２４４４
代表者	早瀬　康信
資本金	２，８００万円
従業員数	１０名
事業内容	ウオーターフロント開発コンサルタント・イベント企画・市場調査等（「かんたんクラブ」及び「かんたんサーカス」の運営管理）
創　業	平成６年８月５日
ＵＲＬ	http://www.kantancircus.com（かんたんサーカス）