元気印の中小企業

　ニッチ市場－“すきま市場”といわれ、潜在的なニーズはあるものの、経営効率面等から大企業が手を出さない分野で、近年、ニッチ市場をターゲットとする様々なベンチャー・ビジネスが生まれている。競合相手が比較的少なく、成功すれば安定した収益の確保が見込まれる一方、開発に当たっては従来にない斬新なアイデアと確かな技術が求められるが、汲み取り不要の自己完結型燃焼式トイレ「ミカレット」に続いて、コンテナを使ったレンタル倉庫業に本格的に参入、第２のニッチ市場開拓に力を入れているのが、県下ベンチャー企業の草分け的な存在である『㈱ミカサ』だ。

●山岳地での利用が急増中のミカレット

　『㈱ミカサ』は平成元年７月、それまで建設関連の仕事を手がけていた三笠高志社長が主に建設業向けの仮設事務所及び備品、空調機器等のレンタル業を目的に独立・創業した。
　しかし、創業後間もなく大きな転機が訪れた。バブル崩壊による“建設冬の時代”の到来である。当時、「好不況に左右されないオリジナル商品を持つ必要性を痛感させられた」という三笠社長が目をつけたのが、同社の評価を一気に高め、現在でも主力製品となっている自己完結型の燃焼式簡易トイレ「ミカレット」だ。
　従来、建設現場等に設置される簡易トイレは滞留・汲取式だったが、「ミカレット」は灯油による燃焼方式を採用することで、汚物を短時間で処理すると共に悪臭等の環境問題にも対応した画期的な特許製品（平成９年７月取得）。これまで、関東以西を中心に全国で約250基を販売（このほか常時約30基をレンタル）しており、特に「最近は環境問題が深刻になっている富士山や北アルプス等の山岳地で使われるケースが急増している」そうで、本格的な山のシーズンとなる７～８月は三笠社長自らが全国を飛び回っているという。

●今年度中に10カ所・500基に拡充

　ミカレットの開発によって、『㈱ミカサ』は平成９年３月、県下では第１号の創造活動促進法認定企業となっているが、平成14年２月には県産業の核となるモノづくりの活性化に寄与している新技術・新製品を対象とする「豊の国ものづくり賞」も受賞。また同年にはミカレットで培った炭化技術を活用して小型炭焼機（「由布の炭蔵」「由布のすみ焼き小僧」）を開発、九州沖縄テクノフェア2002に出展するなど、“ニッチ市場”に焦点を当て、県下を代表するベンチャー企業としてその存在を知られているが、平成15年度から新たな経営革新に向けて本格的なチャレンジを開始した。
　鉄道や船舶用コンテナを改良したレンタル倉庫の本格展開がそれである。「元々、本社敷地内に試験的に45基ほど設置していましたが、客先へのＰＲや価格・料金回収等のデータ収集の結果、非常に投資効率が高いことが確認できた」ことから本格展開に乗り出したもの。
　現在、本社のほか西大分・小池原・東明野・下郡・東大道・滝尾の６カ所に計250基を設置。一般家庭の季節用品の保管や建て替え時の一時保管場所として利用されているのをはじめ、大分市内に事務所を設けている支店・営業所や小規模事業所の商品在庫・資機材等の保管場所として活用されているそうだ。
　この貸倉庫事業のビジネスプランは昨年５月、経営革新計画の認定を受けており、いわば時代にマッチした事業として認められた形だが、順調な伸びについて、三笠社長は「使用料が月5,000円（１坪タイプ）から20,000円（４坪タイプ）と比較的安いことや契約期間を定めず好きな期間だけ利用できることなどが受けているため」と分析。今年度中には「10カ所に計500基を設置し、ミカレットに続く事業の柱として育てていく」方針だ。

事業所プロフィール
会社名	株式会社ミカサ
所在地	大分市高城西町７－２７　　Tel ０９７－５５１－８８２６
代表者	三笠高志
資本金	１，０００万円
従業員数	４名
事業内容	燃焼式トイレ「ミカレット」の製造・販売・レンタル、コンテナ倉庫の販売・レンタル、仮設事務所及び備品の販売・レンタル、小型炭焼窯の製造・販売等
創　業	平成元年７月
ＵＲＬ	http://member.nifty.ne.jp/mikasakk/