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お客様第一主義を理念に、大型店と共存しながら急成長 |
野菜、鮮魚とともに“生鮮3品”の一角を占める食肉。食の洋風化や所得水準の向上に伴い、戦後、急速にその消費量を伸ばしてきたが、近年は共稼ぎ世帯の増加や外食機会の増加等のライフスタイルの変化を背景にほぼ横ばいで推移している。一方では、生鮮3品を含めた大型店でのワンストップによるまとめ買い傾向が定着し、いま食肉専門小売店は“淘汰と経営合理化”の厳しい経営環境に置かれている。こうした中、大型店と共存する形で急成長、県下トップクラスの販売実績を挙げているのが食肉業務用卸・小売の『鰍ワるひで』だ。 |
●1日1万パックを加工 |
『鰍ワるひで』は、黒毛和牛肉(豊後牛・鹿児島牛・宮崎牛)をはじめ、豚肉(ハーブ豚)・鳥肉・馬刺などすべての食肉を取り扱い、ハンバーグやコロッケ・唐揚等の加工も手がけている業務用卸・小売業者。
その加工量は1日1万パックにも及び、県下一円に26店舗を有し、年間販売額は約43億円(小売85%、業務用卸売15%)に達する県下最大級の食肉専門店である。
創業は昭和51年10月。小野秀幸社長が大分市大在駅前で「丸秀精肉店」を個人創業したのが、そのスタートである。昭和58年3月に「(有)丸秀」、平成3年6月に現社名に改組しているが、大型店との業態間競争が激化、全国的に食肉専門小売店の淘汰・廃業が進む中で同社は平成7年以降、店舗数を急拡大してきている。
現在、竹田地区を除く県下一円に店舗網を巡らせているが、そのバックボーンとなっているのが、「誠心・誠意をモットーに、お客様第一主義を貫き、安心して食べていただける厳選した商品を提供している」(小野秀幸社長)という創業時からの基本理念である。
BSEや産地偽装問題によって、近年、食の安全・安心に対する消費者の関心が高まっているが、「口にするものである以上、安全・安心は最も基本的な当たり前のこと」とする“お客様第一主義”のこうした経営姿勢が急成長の大きな要因だ。 |
●新たな設備投資 |
その経営戦略も急成長を支える原動力となっている。戦後、急拡大した食肉消費量は共稼ぎ世帯の増加による家庭での料理機会の減少や外食産業の発展による外食の増加等を背景に消費量が頭打ち傾向となっており、加えて、スーパー等大型店での生鮮3品を含めたワンストップショッピングが定着し食肉小売店の淘汰が急激に進んでいる。こうした中、『鰍ワるひで』は最大のライバルである大型店にテナントとして出店することで“大型店との共存”をはかりながら、現在の基盤を築き上げているのである。
第1号は、昭和58年4月に出店した旧・壽屋宗方店内のオークス店だが、平成7年2月の生鮮市場羽屋店への出店を機に、大型店内への出店を積極的に推進。現在、新鮮市場をメインにトキハインダストリー、サンライフ等に出店している。
こうした店舗網の急拡大に対応するため、同社は相次いで大規模な設備投資を実施している。パック加工能力の拡大と県下各地に分散する店舗・得意先への安定供給と配送業務効率化を目的に、平成14年10月、大分県が大分市佐野に整備した大分流通業務団地に進出して本社及びパック・配送センターを移転しているが、さらなる業容拡大に対応して今年6月には隣接地の2,000uを新たに取得、総工費1億7,000万円を投じて業務用加工センターを増設、この10月から操業を開始した。
また、新たな販売チャンネルづくりにも乗り出している。昨年開設したホームページ(http://www.maruhide.info)による「ネットショップ」がそれで、食肉専門店として長年培ってきたノウハウを活かして牛肉は豊後牛を中心とする黒毛和牛、豚肉はハーブ豚といった厳選商品に特化、脱臭吸着効果・殺菌作用を持つ竹炭を底に敷くという“心配り”もあって、「徐々に固定客を増やしており、今後大きな柱として育てて行く」方針だ。
小野社長によると、「県内を完全に固めるのが第一で、現状では県外進出は考えていない」そうだが、加工能力の拡充と配送業務の効率化は今後、大きな武器となるのは間違いなく、その動向が注目される。
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事業所プロフィール |
会社名 |
株式会社 まるひで |
所在地 |
大分市大分流通業務団地1−3−6 Tel 097−524−3711 |
代表者 |
小野 秀幸 |
資本金 |
1,000万円 |
組合員数 |
社員90名、準社員96名 |
事業内容 |
食肉小売(スーパー・専門店へのテナント出店)及び業務用食肉卸売、インターネッ ト通販シティホテル経営 |
創 業 |
昭和51年10月 |
URL |
http://www.maruhide.info/ |
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