最も苦労したのは、長久堂時代の味の再現だった。商品に関しては、原材料の配合レシピをもらい、製造に関わっていた3人が新会社に参画、前工場長も応援してくれており、製造上の問題はなかったものの、工程の中で焼きの部分だけが焼き釜を従来の輻射熱を利用したトンネル釜から熱風で焼くラック式釜に変えたことから、できる限り同じ味に近づけようと試行錯誤の連続だったという。
復活した『ざびえる』は現在、トキハ、トキハインダストリー、キヨスク、大分空港ターミナルの空港売店で販売されているが、好評なのが従来の化粧箱入りに加えた1個70円でのばら売り。手軽に買えるようになったことや『久しぶりに味わいたい』という声に支えられ、「当初計画していた日産14,000個の2倍近い数字が出ている」というほどの好調な売れ行きを見せている。同社は当初、まず『ざびえる』を復活させ、8月頃から『瑠異沙』の製造も開始する予定にしていたが、現在は『ざびえる』の製造で手一杯の状況で、「瑠異沙を手がけるのは秋口以降になりそうですね」という嬉しい悲鳴をあげている。
太田社長は、「ここまでこれたのは、周りのいろんな方々の暖かい支援のおかげです。元従業員だけで立ち上げたことに対する激励もあるかも知れませんが、『よく頑張っているね』という応援や励ましの手紙もたくさん戴いており、本当に感謝しています。正直なところ、これほどの反響があるとは思いませんでした。無くなって初めて『ざびえる』の存在がいかに大きかったのかを再認識させられましたが、それだけに責任の大きさを痛感しています」と語り、「これからが本当のスタート。大分の皆さんに愛される『ざびえる』を作り続けていきたい」と決意を新たにしているところだ。
「いずれは自前の工場を持ち、瑠異沙も復活させるとともに、今は夢の段階ですが将来的には自分たちのオリジナル商品を3品程度は作り出したい」と今後を展望する太田社長の『ざびえる』や『瑠異沙』に続く、新しい大分の銘菓づくりに期待したい。
※ざびえる本舗は現在、株式会社に改組し、大分流通業務団地に移転