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土木と歩むをモットーに、様々な土木支援商品を開発 |
一般の目にふれることは少ないが、土木測量はインフラ整備や災害防止等に重要な役割を担っている。中でも、土工丁張掛は土木の原点ともいえるもので、間違いが許されない高度な技術と信頼が求められる作業だ。『潟Rイシ』は、この丁張掛をベースに、「こんなものがあったら便利」という発想から生まれたユニークな土木測量支援商品を次々と開発、土木測量技術の発展・向上に努めている大分県のベンチャー登録第1号企業だ。 |
●ユニークな土木支援商品を次々に開発 |
『潟Rイシ』は大分県のベンチャー企業登録第1号。創業は昭和62年8月。土木技術者だった小原文男社長が興した「県内はもちろん国内にもあまり例がない」という、着工前・丁張掛・出来高管理等を専門とする土木工事測量会社だ。 社名の由来は、一人ひとりの“小さな小石”が共に支え合いながら、工事測量という新しい分野で、コツコツと実績を積み上げ、大きな力となり、『世界のコイシ』をめざそうという願いを込め、一緒に創業した現・石川顧問と小原社長の名前から一文字ずつとって命名した。
スタート当初は、「他が10個なら自分は20個といった具合で朝6時から夜中まで丁張掛をやった」(小原社長)という猛烈な働きぶりだったが、「ある方から土俵(法人化)にあがらなければ駄目だ」とアドバイスされ、平成元年1月、(有)平成測量を設立、同時に測量業登録及び建設業登録を行い、現在の基礎を築いた。平成7年2月、株式会社に改組して現社名に商号変更したが、同社の最大の特徴であり強みは単なる工事測量会社ではないということ。担当した土木工事測量の現場で発生する諸問題を処理するために、「こういうソフトやハードがあればいいな」という発想から生まれたユニークで画期的な土木支援商品を開発していることである。
「元々、創業時からソフト開発は考えていましたが、口コミで丁張掛の依頼が増え、1人で複数の現場を受け持つようになりましてね。作業は非常にきついし、もし間違ったらとんでもないことになります。このまま丁張掛だけだと会社が大きくなるのは大変だし、みんなが欲しがる物を作ればよいのでは・・・」と考えて、土木支援商品の開発を始めたそうだ。小原社長自身が、「これからの土木設計測量業界にパソコンは不可欠なツール」と、早くから活用していたことがそのバックボーンとなっている。 |
●「KOISHI-3D」の商品化を急ぐ |
こうして生まれたヒット商品が平成9年9月に商品化した『丁張マン』だ。これは丁張掛はもちろん、土木工事に必要なノウハウを座標・路線・面積の3つのプログラムに集約、一般測量計算からクロソイド逆計算まで可能にした手帳サイズの土木用計算機。
「仕事量が増えたことに対応するため、もっと早く精度も良くやれる方法はないかと考えて、パソコンで原型を作っていたのを手帳サイズの端末にソフトを組み込み、自社で使っていましたが、お客さんから『潟Rイシは何でそんなに丁張掛が早いのか』と不思議がられ商品化した」ものだ。
同社の開発商品は、丁張マンをはじめ測量結果をスムーズに現場監督に伝達するための名札明示板「ワッパちゃん」、土木工事現場で測点等の位置を明確にする「鋲ネクタイ」(科学技術庁「注目発明選定」注目賞受賞)、小型GPSを使用した造成現場の「転圧管理システム」など、その土木経験を基に考案したユニークで画期的なものばかりだが、将来のメイン商品と位置づけ、いま商品化に最も力を入れているのが、土木工事測量・施工支援3次元立体表示システム『KOISHI−3D』である。
科学技術庁の補助を受け、大分大学工学部の宇津宮教授と共同で開発に取り組んだもので、丁張掛が正しいかどうかが画面上で確認できるというもの。「丁張掛がおかしいのか、あるいは工事の間違いかで揉めるケースがよくありますが、『KOISHI−3D』なら事前にチェックできますし、当社はこれまでの丁張を掛ける会社からチェックする会社に変わっていくのではないか」という期待の商品で、すでに自社内で使用しており、今後改良を加えながら商品化を急ぐ方針だ。 |
事業所プロフィール |
会社名 |
株式会社 コイシ |
所在地 |
大分市東明野1805番地の1 Tel 097−556−0400 |
代表者 |
小原文男 |
資本金 |
2,000万円 |
従業員数 |
20名 |
事業内容 |
土木工事測量(着工前・丁張掛・出来高管理)、土木支援商品の開発・販売 |
創 業 |
昭和62年8月 |
URL |
http://www.koishi.co.jp/ |
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